オランダ

【戦後復興と都市のかたち】ロッテルダムが選んだ“ふつうじゃない”という価値

【孤独の建築 Vol.30|Rotterdam(ロッテルダム)】

ヨーロッパの都市を歩いていて、
「なんか、ちょっと変だな」と感じる場所はそう多くない。
でも、ロッテルダムは違った。

初めて訪れたとき、街が建築で遊んでいるように見えた。
建物が真っすぐ立っていない。
色が違う。形も違う。
でも、なぜか都市としての一体感は保たれている。

川沿いの道を歩きながら、ふと立ち止まって振り返ると、
背後に奇妙な形の集合住宅やアートピースのようなビルが並んでいる。
“建築が日常に溶け込む”のではなく、“日常が建築に浸っている”。
そんな感じ。

通りを歩くたびに、視界に飛び込んでくるのは見たことのないかたちの建築たち。
傾いた箱型の集合住宅、立体的に入り組んだマーケットホール、
どれもが「普通の都市」ではあり得ない構成をしている。

けれど、不思議と圧迫感はない。
むしろ、“都市が遊んでいる”ことへの余裕のようなものを感じた。

かつて戦災で壊滅的な被害を受けたロッテルダム。
その復興の中で、“ふつうじゃないこと”を選び続けてきた。
ただ機能を回復するだけじゃなく、
都市に芸術と建築を深く織り込んでいくという選択。

街を歩きながら、
「この都市には、“未来に向かって試してみる”という空気がある」
そう気づいた。

そしてその空気は、建築を志す者として、とても羨ましかった。
ロッテルダムは、建築の「展示場」ではなく「実験場」。
都市が建築を通じて、自分の姿勢を語っている。

次に来るときは、もっと時間をかけて、
一つひとつの建物に触れながら、
都市が仕掛けた“問い”に向き合ってみたい。

🔍 Rotterdam(ロッテルダム)

  • :オランダ(Netherlands)
  • 特徴:第二次世界大戦後の再建によって生まれた“モダンアーキテクチャの街”
  • 景観構成:高層ビルと奇抜な建築が並び、芸術とインフラが共存する都市構造
  • 建築様式:現代建築、ハイテク建築、ポストモダン建築など多様なスタイルが混在

🚆 アクセスと移動

  • 最寄駅:Rotterdam Centraal(ロッテルダム中央駅)
  • アムステルダムから電車で約40分
  • 駅から市街地は徒歩でも移動可能。トラムや地下鉄、バスも整備されており快適

💡 街歩きのポイント

  • キューブハウス(Cube Houses)やマルクトハル(Markthal)など象徴的な建築が点在
  • 川沿いや橋の上から見る街のスカイラインが印象的
  • 再建都市として、建築と芸術が「都市の再定義」を体現している
  • 建築散策だけでなく、デザインやアート好きにもおすすめの都市体験が可能